大分の口演家|矢野大和さん


インタビュー前のカボス編集長メモ
話し始めてから終わるまで身振り手振りを交えてパワフルに話し、笑いの渦を巻き起こす矢野大和(やのたいわ)さんの口演会。最初に拝聴した時は衝撃かつ笑撃的でした。話の中に笑いを入れる事から「講演」を「口演」と題して全国各地で口演活動を行っている矢野さんの現在・過去・未来をたっぷりお伺いします!


高校時代からの落語好き

ー カボッス!今日はよろしくおねカボします。年間 400 回の口演活動を行っている矢野さんの話す原点は何でしょ うか?

矢野 落語ですね。高校生の頃から落語を始めて、好きが高じて『県南落語組合』を立 ち上げ、今では東京から落語家さんを大分に呼んで寄席もやっています。

 

ー 矢野さんが一番好きな落語家さんは誰ですか?

矢野 人間国宝・三代目桂米朝さんです。米朝さんが話す『地獄八景』を高校生の時に聞いて「この人はすごい!」 と思いました。古典をそのまま話すのではなく、地獄の旅 路に現代を反映させ新作落語のように、80 分間話す姿に 惚れましたね。ただの笑い話で終わるのではなく知的なと ころが入っている点が大好きです。

人生を変えた町長の言葉

ー 口演活動はどうやって始まったんですか?

矢野 私は大分県宇目町の鷹鳥屋神社の宮司の長男として生まれ、現在も神職でありますが、田舎のお宮では生活できないので、宇目町役場に就職したことがきっかけになっています。役場では最初は教育委員会の生涯学習の仕事を担当していましたが、続いて任命された仕事は宇目町に新しくできた道の駅「うめ」の初代店長。自分なりに店長として名物メニューを考案したり日々頑張ったこともあり、 黒字経営が続いていたある日、当時の小平町長から「あんたは話がうまいけん役場に来なくて外に出よ!」と言われました。

ー 外に出る!?

矢野 町の宣伝のために、外に出て話しをしてこいという ことですね。それから営業を中心とする観光大使となり口演活動がスタートしました。 50 歳を節目に佐伯市役所は退職しましたが、口演活動は今でもずっと続けています。


観光資源はズバリ人!

ー 2011年には「おおいた観光特使」となって宇目町や佐伯市だけでなく、大分県の魅力を全国の皆さんに伝え続けている矢野さんが思う大分の魅力って何ですか?

矢野 まず「方言」が魅力的ですね。大分弁の響きが好きなので、どこに行っても大分弁でしゃべっています。あと大分に限らずですが、地域の魅力は温泉や料理などもありますが、やっぱり「人」だと思います。以前、うちの街の何気ない通学路の風景を『たかくんの通学路』と題して笑い話にしたら、「その話の通学路が見たい!」とツアーができたことがありました。どこにでもある普通の道が人気になっている、と話題になり福岡の RKB 毎日放送が「たかくんの通学路」をテーマに番組を作ってくれたりしました。 ー 何気ない場所でも、たかくんという人を通して伝えると魅力的になり行きたくなるということですね!

矢野 笑い話は人を伝えることですから。地域も人を伝えるべきだと思います。人は人で元気になって、人は人に会いに行く。茶屋があったとして、そこに名物おばちゃんがいたら会いに行きたくなるものです。おみやげ品などはどこにでもありネットで買うことも出来ますが、「あのおばちゃんがおもしりい」となったら会いに行きたくなります。落語も地域も魅力は「人」 ですね。


語り継ぎたい親父の遺言

ー「大分の語り部」では、次の世代の子ども達が、未来を 元気に生き抜いていくための生きる糧となるような、語り 部達の智慧を伝えています。 矢野さんが次の世代に語り継ぎたいことを教えてください!

矢野 私自身が生きる指針としている「親父の遺言」ですね。3つありまして、まず1つ目は「稼いだ以上にに使うと借金になる」ということ。まあ文字通り当たり前のことですが(笑)、お金に対する考え方が凝縮されています。2つ目は「女は叩くな」です。これもずっと守ってい ます。私の奥さんに聞いてもらったら本当だと言うことが分かります!3つ目は「頭はハゲるが頑張っちくりぃ」です。親父の頭がハゲていたから、息子の自分もハゲるだろうと思っての言葉ですね。親父の予言通り、今ではすっかり親父のような頭になりまし た(笑)。

ー お金のこと、夫婦関係のこと、受け継ぐことなど、時代を超えて生きる糧になりそうな3つの助言ですね。 

ー 今後の目標は何ですか?

矢野 あと10 年は全国を周って口演活動を続けたいですね。75 歳ぐらいになったらお宮に 20 畳ぐらいの寄席部 屋を作って、月に1回寄席をやりたいと思っています!落語で人生を楽しくさせてもらったんで、自分が楽しんだ分、多くのみなさんにも落語を楽しんでもらえるように取り組んで行きたいですね!

ー これからもたくさんの楽しいお話を聞かせてください!今日はありカボうございました。

(聞き手:カボスひろし)