2015年に大分市生涯学習施設「関崎海星館」(大分市佐賀関)の館長に就任。子どもの頃から、星に興味を持ち高校生で星の魅力を語るボランティアを始める。社会人となっても星を語り続け、現在に至っております。夢は必ず叶うをモットーに星の魅力を語り続けている。
海星館は私を含めて5人の職員で運営しています。私は元カメラ店自営で他のスタッフは、元高校教師、元新聞記者、元看護師、元自動車企業社員と経歴はそれぞれ異なります。5人の共通点は子どもの頃から星が好きだということです。みんなでアイデアを出し合い、それぞれの個性を活かして、星や宇宙の魅力を日々伝えています。館内の展示品を作ったり、星にまつわるセミナーを定期的に開催したり、小学校で出張教室を開いたりもしています。ガチガチのかたい科学館ではなく、温もりがある施設作りを目指しています。おかげさまで、来館者数は年々増え続けて2〜3年後には館内をリニューアルする予定です。
もともと子どもの頃から星が好きで、いつか天文台で働きたいと夢見ていました。しかし、当時大分県には天文台がなくどうしようかなと思っていた高校生の時に転機が訪れました。父親が心臓の手術をした時に先輩たちが輸血に協力してくれました。「この時のお礼にみかんを配ることしかできなかったが、もっと御礼をしたい。どうすればいいでしょうか?」と奉仕活動をしていた神社の宮司さんに相談したところ、「その子たちはあなたの父親を元気をしようとして行動をした。その結果元気になった。だから御礼はもういい。その恩は世間に恩返ししなさい。あなたは何ができるの?」と聞かれ、大好きな星の話ならできる!と思い、それ以来、ボランティアで星の話をはじめました。社会人になってからも、休日などは依頼が入ると様々な場所で星の話を続けてきました。そして、2011年に夢だった場所である海星館の職員となりました。私が自分の実体験をふまえてみなさんに伝えたいことは「夢は裏切らないから、夢を見続け行動することが大切」だということですね。
星や宇宙のことを遠くの世界のことではなく、身近に感じていただくことです。ですので語る時には星そのものの話だけではなく、関連する話題や雑学も交えて話すように心掛けています。例えば、みんなが大好きな“食”の話題を交えて、宇宙カレー誕生の話をしています。日本人宇宙飛行士の毛利衛さんが初めて宇宙に行った時、過酷な宇宙船内の生活ですごく疲れてカレーを食べたい!と思い、2回目に宇宙に行く時にレトルトのククレカレーを持っていたらNASAの検閲でNGに。市販のレトルトカレーは水気が強すぎて宇宙空間で開けると飛び散ってしまうから。そこで、カレーメーカーのハウスが宇宙カレーを開発し、とろみをつけて水気を減らし、宇宙では味覚が弱くなるので味を濃くして、宇宙カレーが誕生したこととか。また、宇宙を身近に感じてもらうために実験のため宇宙で生殖実験されたメダカの子孫を館内で飼育していたりもしています。そして、海星館にご来館いただいた方にアンケートにご協力いただいたら、宇宙にまつわる写真をプレゼントしています。海星館でのお話や展示品、写真などをきっかけにちょっとでも興味を持っていただきたいですね。
1995年に誕生した海星館も2021年で26年目となります。開館以来がんばってくれている60センチの望遠鏡“愛称:アイ”も、最近ではご機嫌斜めな時もあり、何度かメンテナンスのドッグに入りましたが、そろそろ休ませてあげないといけない時期が来ています。2〜3年後の館内リニューアル時には新しい望遠鏡と入れ替え予定で、アイにはちゃんとセレモニーをしてお別れをしてあげたいと思っています。また、リニューアルの時にプラネタリウムを新設予定です。昼間でもプラネタリウムで星空が楽しめるので、私達職員もワクワクしています。海星館のプラネタリウムは、笑ったり子ども達が騒いで見てもいい、赤ちゃんを連れて来てもいい、なんだったらもう寝ちゃってもいい、そんな温もりのあるプラネタリウムにしたいと思っています。これからも、海星館らしくガチガチのかたい科学館ではなく、職員の顔が見え、笑顔あふれる、あったかい施設にしていきたいと思います。